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息抜き穴をふさぐ/広げる

 息抜き穴をふさぐ/広げることにより、息のヌケの量を変えることができます。穴をふさぐとロングトーンが長くなりまた吹奏感がEWIに近づきます。広げる吹奏感がテナーやバリトンサックスなど大きい楽器に近づきます。


息抜き穴をふさぐ

最初に注意:WX5の取扱説明書には「穴をふさがないように」との記述があります。この改造により万が一故障が発生しても筆者は責任を持ちません。また息の抵抗が大きくなるので演奏者の身体への負担が増え最悪の場合気胸をひきおこす原因になります。腹式呼吸ができない方にはおすすめしません。各自自己責任で行って下さい。

 息抜き穴(ウォータードレイン)とは、WX5下端にある、本体に吹き込んだ息や水滴が出る穴です。AKAIのウインドシンセEWIシリーズに較べるとWX5は吹き込んだときの抵抗が少なく、良く息が抜ける設計になっています。これはサックスや他の生管楽器に吹奏感を近づけるためと思われ、確かにサックスと持ち替えをしたときにも違和感は少なくその意味ではとても良くできています。しかしなるべく息継ぎをせず一息で長いフレーズを演奏(ロングトーン)したいというのは誰でも思うものです。ブレス感度を上げてより少ない息で音量が出るように設定しても良いのですが、こうすると筆者のように息を強く吹き込むクセのある人は、ちょっと強く吹いただけで最大音量となりダイナミックレンジの狭い演奏となってしまいます。

 そこで強く吹き込くことができ、かつロングトーンを可能にする方法として息抜き穴をふさぐことを試してみました。なおWXシリーズ初代のWX7には、最初からこの点の考慮がされており、息抜き穴をふさぐための小さなゴム栓が付属していたそうです※1
 とりあえず穴に何か詰めれば良いので、綿棒を挿したり、消しゴムを刻んで押し込んだりしても良いのですが、ブレスまわりはウインドシンセの命なだけに継続使用や紛失時加工再現性に問題があります。素材をいろいろ探した末、「網戸用 網押えゴム」を利用する方法が最も良かったので紹介します。

「網押えゴム」包装と中身
直径4.5mm×7m。200円で購入。
 上:斜めカットすると差込みやすい
 下:息抜き穴に差し込んだ状態

 どこのDIYショップにもおいてあるような、アルミサッシ網戸用の「網押さえゴム」の直径4.5mmまたは3.5mmのものを2〜3cmの長さに切り息抜き穴に差し込みます。これでOKです。店によっては3cmくらいに切った試供品を置いてありますからこれをもらってくれば無料で試すことができます。上の写真では4.5mmのものを使用しています。3.5mmのものは差し込んだときわずかに隙間ができるのでそのぶん4.5mmにくらべると息の抜ける量が多くなります。吹いた感じの好みで選択すれば良いと思います。筆者は3.5mmのほうをよく使います。なおどちらもしっかりさし込めば演奏中に抜けてしまうことはありません。息の出口が狭くなるので穴をふさぐ前に較べ圧倒的なロングトーンが可能です。筆者の場合ゴムなしで15秒だったロングトーンが、3.5mmゴムで30秒、4.5mmゴムで35秒になりました(音色により差あり)。ダイナミックも充分広く取れます。結果としては成功といえるでしょう。

 写真のようにこのゴムは真ん中に穴があいたチューブ状になっていて適度に息と水分が抜けるようになっています。穴のあいていないゴムを使えばさらに強い抵抗感と長いロングトーンが得られますが、水分の逃げ場所がないので故障が起きないか少々心配です。ちなみに息抜き穴を完全にふさいでもマウスピースの部分、特にリードとマウスピースの隙間から息がもれてしまい、EWI1000でできるような※2永遠ロングトーンはできませんでした。残念。
 (Mar.19.2002追記:その後、マウスピースの差込部およびリードとの隙間から息が洩れないようにすればWX5でも永遠ロングトーンが可能であることが確認できました。演奏中にこれができるかどうかは別ですが・・・)

 ロングトーンの利点は大きいのですが、副作用として、特に小音量域でのコントロール感覚が大きく変わってしまう問題が発生します。また音を短く切る(スタッカート)時の、音のキレ(減衰)が悪くなります。これらをカバーするためにWX5のブレスセンサーの感度やゲイン、音源側のブレスカーブを設定しなおすことが必要です。(WX5マニュアルP25,P20、VL70-mマニュアルP153)。VL70-mではコントロールエディットで各コントロールごとにブレスカーブの再設定も必要かもしれません。このへんの再調整をしっかり行わないと、サックスなどの「生管楽器バーチャル再現力」はかなり落ちてしまうように感じます。
 反面アナログシンセ系の音色ではかなり良い感じで吹けます。VL70-mのほかにEWI3020m(アナログ音源)を鳴らしてみましたが、抵抗感がEWI3000系コントローラに近いこともありEWIっぽい雰囲気がでたような気がします。WX5でEWIっぽい演奏をしたい場合(?)にも良いかもしれません。

Mar.19.2002追記:


※1:情報提供感謝:ぎあさん。WX7付属のゴム栓は(A)少しテーパをもった円すい状のもの、(B)同様な円すい形状で断面が十字になっているのもの、の2種類があり、(A)は完全に息が抜けなくなりますが、(B)は断面が十字ですので、息の抜けは約半分ほどに抑えることができる、とのこと。ぎあさんはWX7で(A)、WX5は(B)をそれぞれ使っているそうです。
※2:AKAIのEWIシリーズ初代EWI1000は全く息が抜けない構造になっているため演奏中に吹き口の穴を舌でふさぐとブレスセンサーへの圧力が維持され永遠にロングトーンが可能になるという定番の裏技があります。EWI3000以降はこの技は使えません。情報提供感謝:ぎあさん、よしめめさん

Dec.9.2000作成、Mar.19.2002最終更新


息抜き穴をひろげる

 テナーサックスやバリトンサックスなど大きい楽器に慣れている人は、WX5の息ヌケ感でも、まだキツイと感じることがあるかもしれません。その場合まずはWX5のブレスゼロやブレス感度、音源側のブレスカーブ等を調節しましょう。それでもまだキツイと感じる場合には、息抜き穴を広げてしまうのも有効です。といっても構造上息抜き穴そのものは広げられないので、かわりにマウスピースに息を抜ける穴をあけます。穴をあける場所はどこでも良いです。適当なところに適当な大きさであけてください。当然ながらあけてしまったらもとに戻らないので、実際に吹きながら慎重に、小さい穴からだんだん大きくしていきましょう。筆者は実際にこの改造は試したことがないのですが、普段テナーを吹いていてもう少し息の抵抗感を弱くしたかったという葉男さんの報告によれば「穴あけてみました。穴からシャーシャー音がしてイマイチですが、抵抗感については改善されました。」とのことです。(情報感謝!>葉男さん)
なお副作用として、吹いているうちにその穴から水滴が飛び散ると予想されます。それがサックスっぽくて良い(?)とも言えますが、水滴が内部の電子部品に流れ込まないように、コチラで紹介しているようにヘアバンド等を巻いて水滴対策をしておくと良いでしょう。

注意:WX5本体には特に負担をかけないので問題ないと思われますが穴をあけたマウスピースは当然保証対象外になります。なお穴あけが失敗しても、楽器店等からマウスピースのみ部品扱いで購入することができます(おそらく数百円)ので被害は少ないといえば少ないでしょう。

Jan.12.2003作成

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