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WX5と、AKAI EWI4000sとの違い

ウインドシンセサイザーと分類されるもにはWX5の他にLyriconやAKAIのEWI等があります。Lyriconは日本人にとってはなんと言っても初期スクエアで伊東たけし氏が演奏していたことで有名ですが既に製造中止となっており、2006年8月、新品で購入できるウインドシンセはWX5の他はAKAIの製造するEWI(イーウィと発音)があるのみです。EWIは同じくスクエアでTRUTH(いわゆるF-1のテーマ)のころから使用していますし、マイケルブレッカーの超絶技巧を駆使した演奏でも有名です。

WXとEWI、どちらを購入しようか迷っている方もいらっしゃると思いますので、ここで簡単に両社の現行最新機種であるWX5とEWI4000s両者の違いについて私見を交えまとめてみます。(注1)

(補足:WX5と、旧型EWIであるEWI3020/EWI3020mとの比較については以前の記事を参照)


 一言で言うと両者の差はその商品のコンセプトに集約されると思います。私見ですが両者には 

という根本的な差があるように思います。この差は両者のキーの扱いに端的に現れています。WXがサックスになるべく近くなるようにキーを押して下げることにより反応するのに対し、EWIは金属のキーに触れるだけで反応します。したがってサックスのつもりで吹くと全く演奏できません。しかし馴れてしまえば「触れるだけ」のため、どんな楽器よりも速い異常なまでの速吹きができるのです。まさにサックスいや全ての管楽器を超えるべく生まれた究極の楽器であると申せましょう。う〜ん、素晴らしいっっ。

しかし!

 実際に演奏するときはその楽器のコンセプトなんて関係なくて、聴衆を納得させられる演奏が出来れば楽器なんてなんでも良いわけです。その点についてはどちらの楽器もプロの使用に耐える能力を有しています(注2)ので、結局の所どちらを選んでも構いません。個々の演奏者が演奏しやすいと思ったほうを選択するのがベストです。

 ですから購入を迷われている方は、両者を比較して試奏することを強くお薦めします。スペック上、機能上の違いをいくら比較しても、他人の意見をどれだけ聞いてみても、それらより「実際に自分が吹いてみたときの使いやすさ」が最優先されるべきだと思います。(試奏できる販売店等の情報はコチラ参照)

 細かい機能上の差はいろいろあるのですが、試奏時チェックするポイントとしては下記の通りでしょうか。

 
WX5
EWI4000s
音源 外部接続の専用音源または汎用MIDI音源が必要 内蔵のアナログモデリング音源。MIDI経由で他の外部汎用MIDI音源も操作可能。
推奨音源での音色 (音源がVL70-mの場合)生管楽器系の音が得意。アナログシンセ系の音も出る。 内蔵音源はアナログシンセ系の音色に特化。
本体の大きさ
WX5に較べEWI4000sのほうがやや大ぶりで重い
キー操作 キー押し下げ キーに触れる(タッチセンサー)
オクターブキー ボタン4個 ローラー
ピッチベンド リップおよび右手ホイール 右手タッチセンサー
リップでのビブラート リップセンサー リップセンサー
グライド(ポルタメント) ボタン グライドセンサー
ホールド奏法、オクターブ奏法 専用ボタンを押す
2音以上発音の音源が必要(VL70-m一台ではできない)
専用ボタンを押す
単体で可能
吹奏感(息抜ケ) 強く吹き込める(クラリネット並) 強く吹き込めない

つまり、音源内蔵を優先させるか。音色は好みか。本体は重すぎないか。タッチセンサーに馴染めるか。オクターブキーの操作性はどっちがやりやすいか。ベンドの操作性はどちらがやりやすいか。ビブラートがかかやすいのはどちらか。グライドや、ホールド機能を使うか。吹奏感はどうか。音源の音色は気に入ったか。といったポイントです。

ちなみに私自身がが現在もWX5を使い続けている最大の理由は

という、要するに「あくまでも自分にとって」演奏しやすいのがWX5だったから、という点につきます。(注3)ちなみにグライドとビブラートについてはEWIのほうがかなりやりやすいと感じたのですが、オクターブとベンドを優先しました。もちろん、WX5のオクターブキーはどうしても違和感がある、とか、リップベンドは苦手、という方もいますし、むしろそちらのほうが多数派のようにも感じています。なにはともあれ、ここらへんは個人差がありますので、人の意見よりも「自分の感覚」を優先させるべきと思います。


では、どっちも試したけど、そんなにどちらも差は感じなかった、という場合を前提として、その他の選択ポイントいくつかあげてみます

●サックスの練習のかわりにしたい

●T-SQUAREのコピーをしたい。

●DTMで管楽器パート等のMIDIの打ち込みに使いたい

●ワイヤレスで身軽に演奏したい

その他「違う」という意見も聞くけれど家主が個人的にはそんなに違わないと思っている点

●EWI4000sは内部音源とMIDI信号を介さない直結接続だからレスポンスが速い。対してWX5はVL70-m含めその他の音源とMIDI経由。MIDIは信号が粗くレスポンスが悪い。だからEWIの方が良い!という意見があります。


注1:正確にはAKAI・YAMAHA以外のウインドシンセサイザー製品もありますが、日本国内の楽器店で普通に買えるものはYAMAHAとAKAIの2社だけですのでこの2社の製品にしぼります。また、2008年3月現在現行機種として2006年4月に発売された新製品であるEWI4000sの他に1994年に発売されつい先日まで最新機種であったEWI3020というコントローラと、EWI3020m(アナログ音源)が現行機種として存在していますが、EWI3020/mについては今後も生産を続けるかどうか微妙な状況ですのでここではWX5とEWI4000sとの比較のみに絞りました。WX5とEWI3020/mとの比較については以前公開していたこちらの記事を参照ください。

注2:タッチセンサーの原理上、運指の速さの最大能力はEWIの方が上ですが、いろんなプロのEWIの演奏を聴いても、WX5で出来ないほどのEWI速吹きはまず出てきません。本田雅人だろうがマイケルブレッカーだろうが、ちゃんと慣れればWX5でも出来ます。要はその演奏者にとってどっちが演奏しやすいか、のほうが実際の運指の速度への影響は大きいのではないでしょうか。

注3:1999年に私がWX5を購入した当時はEWIがEWI3020/mという音源とコントローラが別になっている機種であり、この場合WX5を使う理由として

などのデメリットがあり、これらの点でWX5を選択する優位性もあったのですが、EWIが音源内蔵の現行新型EWI4000sになってこれらデメリットはかなり小さくなり、自分がWX5を使う理由としては本文であげた、オクターブキーとベンドの操作性の2点だけになってしまいました。


Aug.15.2006作成・Mar.16.2008最終更新

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